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伊坂幸太郎の作品間でリンクしている登場人物(キャラクター)まとめ

      2016/03/29  

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photo credit: Red Arrows Out-Of-Bounds via photopin (license)

伊坂幸太郎作品の好きな要素の一つに作品間で登場人物がリンクしているといったことが挙げられます。
わたしが伊坂作品をできるだけ時系列順におすすめするのも、実はこういった理由からです。

「あっ!このキャラクター、以前の作品にも出てきたことある!」といった発見があれば、ちょっと嬉しくなりますよね。

伊坂作品も気が付けばもう20作品を超えていて、作品間での繋がりも分かりづらくなってきたので、一旦まとめておこうと思います。
(わたしが理解している限りの登場人物を挙げました。抜けていたら教えてください・・・。)

それでは、どうぞ!

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伊藤

初登場:オーデュボンの祈り

主人公。
元システムエンジニアです。
コンビニ強盗を犯し逃走中に意識を失い目を覚ますと日本から隔離された不思議な島に・・・。

なぜか真っ先に思い出したのは、退職した時のことだった。五年間勤めたソフトウェア会社に、辞職願を出した時の、だ。

ラッシュライフ

額屋でアルバイトをしています。店主が気に入って雇ったみたいだが経歴はあいまいのようで。

額屋のバイトで、よくうちに来ていたんだ。経歴が怪しくてね、昔はシステムエンジニアをやっていたと言うが、警察にお世話になったという噂もあった。

重力ピエロ

未来のことがわかるカカシの話をする青年が現れます。まさしく「オーデュボンの祈り」の世界の話ですね。

咄嗟に、橋で会った青年のことを思い出した。彼は、「未来は神様のレシピで決まる」と言った。未来を預言するカカシについて話してくれたではないか。あれは寓話に過ぎなかったが、それでも聞いている間は、預言するカカシが存在している気分にもなった。

フィッシュストーリー(動物園のエンジン)

主人公の同級生で電話で話をしています。コンビニ強盗の話はここまで届いてるみたいで。

私の記憶によれば確か、その後しばらくして、伊藤は会社を辞め、コンビニエンスストア強盗などをやらかして警察に逮捕された。しかも、逮捕後に逃走までし、私は友人たちと、あの伊藤がどうしてそんなことを、と首をかしげたものだった。

田中

初登場:オーデュボンの祈り

足に障害があり、引きずりながら不自由そうな描写で登場しました。
伊坂さんのお気にい入りキャラクター設定のようで、その後の作品にも似たような(片足に関する何らかの問題がある)キャラクターが登場します。
一番多くの作品に登場している人物です。

一歩歩くだけでも人の数倍は体力を消耗しそうだ。関節の障害なのだろうか。

陽気なギャング シリーズ

陽気なギャングシリーズでも物語の割りと重要なポジションで出てきます。
右足が不自由という設定です。

田中は足が悪い。右足が不自由で引き摺って歩くことしかできない。

グラスホッパー

ホームレス役として登場。
右足をかばうため杖をもっています。

痩せこけた「虫眼鏡」帽子の男が、田中というわけだ。
足が悪いのか、右手に杖のようなものをつかんでいる。

魔王

今度はサッカー日本代表として登場。
田中という名前と足を刺すという描写で、おそらく「オーデュボンの祈り」の田中を意識していると思います。

「田中選手の足を刺して、動けなくしてから、心臓を刺した。そう言っています」

ゴールデンスランバー

片足を骨折して入院している田中徹として登場。
一人称でしゃべる役割を担っており、ゴールデンスランバーの中では彼がいないと物語が進みません。

「俺のほうは、田中君と違って、両方だろ。両脚。だから、つらいんだよね」だとか、「片脚が自由なだけでもずいぶん違うよなあ」だとか、あからさまに、両脚骨折の優越感を強調してくるので、煩わしかった。

とある会社のシステム管理者。
足を引きずるように歩く描写があります。

「わたしが、システム管理者の田中です」と名乗った彼は脚を少し引き摺るようにしていた。

SOSの猿

もはやこじつけに近いですが、システム障害を起こした張本人である田中が焦りのあまり、足をもつれさせるシーンがあります。

心拍数は上がりに上がり、足はもつれにもつれた。

オー!ファーザー

田中という名札を付けたジャージの青年が登場。
これまた片足に不具合があるようです。

「田中」という名前も縫い付けられたままだった。どこからか拾ってきたのだろうか、と思いつつも、現実感の乏しい人だな、と由紀夫はぼんやりと感じた。片足の具合が悪そうだ。

PK

「未来を予言する」と「田中」のワードから、おそらく「オーデュボンの祈り」の田中を少なからず意識しているかと・・・。

「未来を予知するってことですか」と説明を促した。彼は、神経質そうな顔をこちらに向け、じっと私を見た。「この男は、田中君と言い、僕の助手のようなものです」

若葉

初登場:オーデュボンの祈り

地面に耳を付けて自分の「ドクンドクン」とした心臓の音を聞くのが好きな幼女。
オーデュボンの祈りでは癒しの存在でした。かわゆい。

若葉が地面に横たわり、自分の心臓を聴いていたのを思い出していた。「どくん」と弾む音を感じながら、彼女は楽しんでいた。

フィッシュストーリー(ポテチ)

大西若葉という名前で登場。
床に耳を付けて音の響きを確かめるのが好きという表現がオーデュボンの祈りの若葉ちゃんと似ています。

今村の真似をするつもりでもなかったが、寝そべり、床に耳をつけた。ひんやりとした感触が心地良い。地面に耳をつけ、そこから伝わる音や響きを確かめるのが、大西は子供の頃から好きだった。

初登場:オーデュボンの祈り

オーデュボンの祈りの世界で隔離された島からただ一人だけ本島に移動できる人間。
熊のような風貌。

「轟のおっさんは、この島と外を行ったり来たりしているんだ。
島の住人がほしいもの、必要なものを持ってくるんだ。でかい船を持っているからな。エンジンの付いたやつでさ。それで運んでくるんだ」

ゴールデンスランバー

花火屋の社長。
名前と熊の風貌が被っています。

もしかして日本に来たときは花火屋の社長として活動していたのかしら。

轟社長のクマにも似た風貌を思い出した。

黒澤

初登場:ラッシュライフ

泥棒と探偵を生業(なりわい)とするプロ。
淡々と金を盗む姿は、泥棒なんだけどクールでカッコいいです。

黒沢は前述した田中とは違い、どの作品でも黒沢本人として出てきています。

「君の人生はどうなんだい?本当に泥棒などをして生活をしているのかい?」「そうだな。泥棒をして暮らしている。それ以外にまともに働いたことはない」

重力ピエロ

主人公の泉水から探偵業務を依頼され葛城の部屋に入り込みます。

黒澤という名前のその探偵は、年齢は三十代の半ばから後半というところだった。貫禄のある皺が何本か顔にはあったが、脂肪がまとわりつく中年男とは程遠い。

フィッシュストーリー(サクリファイス)

フィッシュストーリーの中の1つ「サクリファイス」の主人公です。
ついに黒沢がメインになってしまいました。

「道を誤ったというのであれば、三十代の半ばを過ぎ、まともな職にも就かず、本業は空き巣で、副業は探偵だ、などとうそぶいて暮らしているおまえこそが道を誤ったのではないか」と風で揺れる枝が揶揄してくる。

フィッシュストーリー(ポテチ)

同じくフィッシュストーリーから「ポテチ」に登場。
同業者の今村から頼りにされる泥棒。

フィッシュストーリーは中編4つから成り立っていますが、その2つに黒沢が登場するという黒沢好きにはたまらない作品です。

黒澤に関しては、二度会ってもその生業が、背景が思い浮かばなかった。今村から、自分たちと同じく空き巣なのだと聞かされた時には驚いた。

佐々岡

初登場:ラッシュライフ

先ほど紹介した泥棒を生業とする黒沢の学生時代の友人。
大手の会社を辞め、画廊で働いています。

佐々岡は笑って、「私の勤めていた画廊はとても大きかった。日本一と言ってもいい規模でね。ああ、そうだな、確かにみんな悪そうな顔をしていた」

フィッシュストーリー(サクリファイス)

画廊の紹介先として黒沢が佐々岡のことを思い浮かべます。

学生時代の友人が、銀座の画廊で働いていたことがあったため、その伝手を利用すればどうにかなるかもしれないな、と安直に考えた。

祥子

初登場:陽気なギャングが地球を回す

響野の奥さんとして登場。
夫婦でカフェを経営しています。

祥子は女性にしては背が高く、響野と並んでも目線は同じくらいだった。顎が細い。艶のある黒髪が長い。三十代半ばとしてはアンバランスなほどスタイルが良かった。

(中略)

祥子は、「夫が雛鳥みたいに騒がしいのが唯一の欠点なのよ」と答える。「ああ」と納得顔で同意する客がいて、響野には腹立たしい。

アヒルと鴨のコインロッカー

主人公の叔母さんとして登場。旦那さんの名前もカフェ経営という点もぴったり一致!

祥子叔母さんが喫茶店を経営しているからだろう。響野という少々変わった旦那さんと、夫婦でやっている。

初登場:重力ピエロ

泉水の弟。
シンナーで落書きをする、少し心に闇を抱えた青年。

朝から快晴だったが、天気とは無関係の地下道に、私はいた。シンナー臭い落書きが充満している地下通路で、春を眺めている。

アヒルと鴨のコインロッカー

春の存在を匂わせるコメントが・・・。

どういうわけか、シンナーの匂いがした。左右を見る。この近くに、壁に落書きをする人間でもいるのだろうか。

死神の精度

死神の千葉と、落書き中の春が遭遇します。
重力ピエロの春そのもので読んでいて懐かしく再登場が嬉しかったです。

手を揺すっているのは、スプレー缶を振っているためらしい。からからと、金物の中で玉が転がる音がした。呼吸に似た音の正体は、スプレーの噴射音だった。

(中略)

青年は痩身で、しなやかな体つきをしている。目が鋭く、顔も小振りで、おそらく人間としては整った顔立ちの部類だろう。

泉水

初登場:重力ピエロ

主人公。
遺伝子情報を扱う会社で働いています。

私たちの会社は、「遺伝子情報」を扱う企業だった。

フィッシュストーリー(ポテチ)

重力ピエロの中で泉水は黒沢に探偵を依頼しています。
その時の繋がりから、今度は作品を超えて黒沢がDNAの検査を泉水に依頼します。

今後もこの組み合わせは出てきそうで、ちょっと楽しみです。

「DNAの検査というのが今はできる」黒澤の表情は大きくは変わらなかった。「以前、仕事の関係で知り合った相手が、そういう会社で働いているからな、そいつに頼んだ。その彼が健康調査を名目に、当時、そこで生まれた何人かのもとを訪れて、粘膜を採取してくれたんだ」

(中略)

黒澤は、これは偶然なんだが、その調査をしてくれた彼自身も、血の繋がりで悩みを抱えているのだ、と言った。

西嶋

初登場:砂漠

ロックで小太りな熱い大学生。
砂漠のメインは西嶋といっても過言ではないほどの存在感があります。
「平和を作っている」とよく叫びます。

「でも、聞いてくださいよ」西嶋はそこでがらっと口調を変えた。訴えるような、妙な熱のこもった口調だ。「俺がね、平和を築こうとしているのにね、みんなが邪魔するんですよ」聞いてくださいよ、と丁寧な物言いながら、威圧感がある。

チルドレン

家庭裁判所の調査官をしていて一度だけ出会った、「平和の実現」と言った少年が西嶋かもしれないという説。

ずいぶん前に一人だけ、喧嘩の理由を問われて、「平和の実現」と答えた少年がいたけれど、それは貴重なほうだろう。

千葉

初登場:死神の精度 シリーズ

7日間、人間の姿で人間界に降り立ち、「生」か「死」かを判定する死神。

だから私には、どの人間がいつ死のうが関係がなかった。けれど、それにもかかわらず私は今日も、人の死を見定めるためにわざわざ出向いてくる。なぜか?仕事だからだ。

魔王

主人公「安藤」の調査で近くに現れたんだと思います。
安藤が「生」の判定を受けたのか、「死」の判定を受けたのかは読んでからのお楽しみ。(ほぼ答えは出てますが)

背筋の伸びた彼が部屋を出て行く後ろ姿を見ながら、後で、同期入社の人事部員に、資材管理部の千葉という男について、どんな男なのか訊ねてみるかな、などと思った。

由紀夫

初登場:オー!ファーザー

4人の父親を持つ主人公。

「おまえの父親、何人いるんだよ」

(中略)

「四人いるんですよ、四人」

ガソリン生活

ファミレスの前で「緑のでデミオ」たちが駐車していると、近くに止まった「ビアンテ」が自分に乗っている人たちの情報を教えてくれます。

「中年の男が四人いただろ。あれはさ、全員、父親なんだよ。あの由紀夫という若者の父親だ」
「四人が父親?そんな制度があったんだっけ」
「正式には違うのかもしれない。ただ、父親が四人いて、それなりに違和感なく生活している」
「ビアンテ、君は大きいから家族で乗れるわけだ」