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伊坂幸太郎「ガソリン生活」の感想。伏線の回収に次ぐ回収!意識のある緑のデミオが可愛い

      2016/03/29  

gasorin

いやぁ、昔の伊坂幸太郎が帰ってきた!
さらに進化して帰ってきたとでも言いましょうか。

「ガソリン生活」は、意識を持った車の視点が一人称になるトリッキーな作りで、
イメージとしては、ディズニーのカーズとか機関車トーマスみたいに車同士が普通にしゃべってます笑

また変な実験的な作品を作ってるんだなって読みましたが、これがめちゃくちゃ面白い!

興奮冷めやらぬ内に読んだ感想を。

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伏線の回収に次ぐ回収

最初から最後までずっと飽きずに読むことができます。
初期の伊坂幸太郎は、伏線を張り巡らせ最後の数ページで一気に回収みたいな作品が持ち味でしたが、
今回は、長期に渡って回収していきます。

ミステリーですから大枠の事件は存在します。
けど、その謎が解けるのがまぁ早い笑

たぶんページの半分くらいで謎解き開始しちゃってます。
その後、やることないように思えますが、細かい謎はちゃんと残していて(追加もしつつ)、
物語を進めて回収、さらに伏線を張る、また回収、さらに伏線を(略 、みたいな。

あーそれも繋げてくるのか!といった楽しさ。

読めば読むほど伏線が絡まり合いボリュームが増していきます。

率直に、昔の伊坂さんの面白さが帰ってきたなぁと(なぜか上から)思って読んでました。

車が一人称

「最近は小説を書くこと自体が楽しくて仕方ない」っておっしゃてるのが分かるような作品でした。
伊坂さんがニヤケながら書いているのが読んでる側にも伝わってきます。

その最たるものが車を主人公にしちゃうところ。
「ガソリン生活」は、望月家が所有する「緑のデミオ」が主人公です。

「緑のデミオ」が一人称で話を進め、「緑のデミオ」の視点で謎が解かれていきます。

あらすじだけ見てた時は、絶対に面白くないと思ってました(というかこんな長編の作品ではなく、お遊びのような短編の話かと思ってた)が、

めちゃくちゃ面白い!
めちゃくちゃ可愛い!

駐車場で車同士が隣になるたびに「やあ、○○(車名)」と会話が始まる。
話題は自分の運転手であったり、最近のトレンドのニュースであったりするけど、
主な話題は、事件について車たちが「あーでもない」「こーでもない」と話をして、「緑のデミオ」が(勝手に)推理していきます。

で、自宅の駐車場でいつも隣のカローラに「おれはこんなこと知ってるんだぜ!」と今日あった出来事を自慢げに話す。

もちろん、車の感情なんて人間には届きませんから、
「緑のデミオ」が進める推理と、人間の推理が並行してあるといった感じで進んでいきます。

車の視点では分かっているけど、人間視点では分かってないといったこともあったり。
そういうギャップも面白かったですね。

相変わらず変なキャラ作るのが上手い

変なというか、個性的なキャラクターを作るのが相変わらずうまいですね。
人間界で今回でいえば、「緑のデミオ」を所有している望月家の次男坊、10歳の亨

小学生の割には大人びすぎている。
どれくらいかというと、自分が大人びすぎていることを自覚していて、学校でいじめられていることを客観的に伝えられるほどの大人び感。

「君も相当、子供らしさに欠けているけれど」

「だから、僕は苛められているよ」

「苛められているのか?」

「そりゃあ、子供らしくないからね、僕は」
「まあ、苛めというか、少なくとも好かれてはいないだろうね」

こんな10歳いませんよ!

この小学生が人間界では謎解きの中心人物となっています。

車界では愛くるしいキャラクターの「緑のデミオ」。
人間界では生意気な小学生「亨」。

どっちを中心に見ても面白い。

キャラもミステリーも満足

最近の伊坂作品は、キャラはいいんだけどミステリー要素が微妙って作品が多かった気がします。
今作は、ミステリー要素も面白い!

なおかつキャラクターも面白い!

伊坂さんのキャラ設定と伏線回収が好きなわたしにとって、伊坂作品の中でも上位レベルに好きな作品となりました。

まとめ

伊坂作品の中でも好きな、たぶんまた読み返すであろう作品でした。
「緑のデミオ」可愛いかったなぁ。