ぱんぶろ

パンジーの「いいね!」ブログ

伊坂幸太郎「マリアビートル」の感想。限定された空間と時間で巻き起こる殺人劇

     

maria-bi-toru

発売当初に一回読んで今回2回目だったのですが、マリアビートルやっぱり最高でした。

時系列的には、前作のグラスホッパーの続編に当たります。とは言っても直接的な繋がりはなく、世界が同じというだけで物語は全くの別物です。

マリアビートルの舞台は、東京から盛岡までの新幹線の中。時間にして約2時間半の内容が小説の中で描かれています。

メインの登場人物は、凄腕の殺し屋コンビ、「ついてない」殺し屋、元殺し屋の中年&中学生コンビという絶対誰かは死ぬだろっていう布陣。

こんな奴らが一つの新幹線の中に集まっているわけですから、穏やかに済むはずもなく、それぞれの思惑がうごめき絡み合い悲劇は起こるも、新幹線は無慈悲にも止まることなく進んでいくといった内容です。

と、導入で書きすぎた感もありますが、マリアビートルの感想を!

スポンサード リンク

疾走感が半端ない!

時間が限られている&新幹線ということもあり、疾走感が半端なかったです。

展開は早いし、読む手もスイスイ進んでいきます。一度読み出したら止まりません。それこそ発車した新幹線は止まらないように。

たぶんこのドキドキ感は、どう転ぶにしても新幹線が盛岡に到着すれば全てが終わってしまうというドキドキなんでしょうね。海外ドラマの24に似たドキドキだと思います。

そして、グイグイ読み進めていって、最後。「あれ?ページ数足りなくね?」って思うこと間違いなし。あ、その伏線があったのか、といつもの伊坂節で占めてくれますのでご期待を。

限られた空間での群像劇

8両くらいしかない新幹線の中で3つの視点が描かれます。

  • 1つ目は、檸檬と蜜柑という名前の凄腕の殺し屋コンビ。
  • 2つ目は、七尾という名前のとことん「運が悪い」殺し屋。
  • 3つ目は、胸糞悪い中学生とその中学生に息子を人質に取られている元殺し屋の木村。

物語の焦点は、1つのトランク

トランクを盛岡まで運ぶように依頼を受けた檸檬と蜜柑。
トランクを奪い途中下車するように依頼を受けた七尾。
両者の殺し屋を混乱させて面白ろおかしくしたい中学生。

この3者がそれぞれの思惑で1つのトランクを巡って行動することで、少しずつチグハグが生まれどう物語が転ぶか分からなくなっていくのです。

特に糞生意気な中学生がポイントで、こいつがかき回してかき回して話をぐちゃぐちゃにしていきます。

余計なことするなよと内心思いつつ、話が面白くなるキーパーソンでもあったりします。

胸糞悪い中学生

伊坂幸太郎でおなじみ?の胸糞悪いキャラクター役としてこの中学生が登場します。オーデュボンの祈りで言うところ影山みたいなポジション。

相手より優位に立つこと、場を支配すること、自分に屈服させることを得意としていて、自分の欲求を満たすために自由研究みたいな感覚で人を操り外道に支配していきます。

中学生と行動を共にする元殺し屋の木村も息子を人質とされているため不本意ながらも言うことを聞かされているといった立場です。

中学生の「なぜか全てがうまくいくんだ」の言葉どおり、新幹線の中でも中学生の幸運パワーは炸裂しまくり、心のなかで「早くくたばれ!」と思いつつ読み進めるも、本当に全てが中学生の思い描いたシナリオどおりに進むもんだから、胸糞悪くてしかたない。

まぁこの中学生がいるから物語に色が生まれている訳ですが。

殺し屋カッコイイ

グラスホッパーもそうでしたが、伊坂さんが描く殺し屋はめちゃくちゃ格好いいです。今回は2組。

一つ目は、檸檬と蜜柑というコンビで行動する殺し屋。

冷静沈着で論理的思考な蜜柑。短期で口うるさい檸檬。凸凹コンビだけど、お互いのことを信頼しあっている空気がいつもあって「いいなぁ」と思いながら読んでました。

檸檬のトーマスの話は大好きです。

もう一つは、とにかく運が悪い七尾という殺し屋。

普段の行動は便りなくて、ドタバタしてて、一見モブキャラ的な雰囲気も醸し出していましたが、殺しの腕と極限まで追い込まれた時の頭のキレが鋭くて、普段とのギャップの開きにキュンキュンする女性が多いのではと思ったりしながら読んでました。

蜜柑と檸檬はトランクを盛岡まで運ぶ依頼を。七尾はトランクを途中の駅で下ろす依頼を受けており、両者がぶつかり合うのは必然で、格好いいバトルが繰り広げられますので期待しておいてください!

伏線もしっかりある

伏線も結構散りばめられていて、まさかこのアイテムが!まさかこの人物が!みたいな展開は終盤に近づくにつれて多くなります。

少し話しましたが、最後本当にページが足りないように感じるし、それは、もっと見たいという欲求によるものかもしれませんが、とにかく、最後の最後も伏線回収して綺麗に終わってくれます。

わたしとしては、全体的に満足いく結末でした!

まとめ

限られた空間。限られた時間。殺し屋たちの群像劇。がこれほどまでに面白いとは!

疾走感が半端なくて、すぐに読み終えちゃうのですが、読み終わるのが悲しくなるような面白い作品でした。

七尾や檸檬&蜜柑は好きになっちゃいますね。

伊坂幸太郎作品の中でも大好きな部類の作品です。